SIRIUS MAGAZINE

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シリウスマガジンでは、最近のお仕事や社内の様子、
照明の話など様々な情報を発信していきます!

2020.06.24

vol.10[15周年特別企画② 最終話] 現場での思い出

四方

現場に行った時の感想はどうでしたか?

戸恒

想像以上に、光の明暗が空間を回遊させる力を生み出していたね。

四方

ねらい通りにいったということですね!

戸恒

内部は、壁が多い空間なんだけど、歩き周ってもみんな風景が違うから飽きなかったよ。
ただ、自分がどこにいるかわからなくなったっけ。
「じゃあ今から帰りまーす。」って出ようと思ったら扉がないガラスだった(笑)。とかね。

四方

この写真は、戸恒さんが撮影されたんですよね。写真撮影の際の何か特別な思い出はありますか?

戸恒

外観を撮影する時は真冬で、あたり一面雪景色だったんだよ。
空がブルーモーメント(日没前に空の色が一瞬青くなる時間)になった時に、外に写真を撮りに行きます!って行ったはいいんだけど、撮影地点までずーっと雪が腰とか胸ぐらいまで積もってて、あせった。
空が青いうちに写真を撮影したい場所まで行こうと必死になって雪をかきわけていって、はぁはぁ息を切らしながら撮影したのを思い出すよ。
そのおかげでとっても綺麗な写真がとれたんだ。

四方

建物の間から、漏れてる光が本当にきれいですよね~。

戸恒

それも計算してデザインしているんだよ。
光が漏れるように奥の壁に光をあてて跳ね返したりしてるんだ。単純にみえて結構デザインしています。結局はデザインだから、偶然ではなく意図的にやってる。

四方

藤本さんの感想は、どうでした?

戸恒

「いいね~。」ってそれだけだったよ。藤本さんはいつもそんな感じ。
その「いいね~。」がもらえたら、合格って思ってる(笑)。

四方

このプロジェクトで戸恒さんが一番気入っている所はどこですか?

戸恒

室内の壁をどうあてるかが一番苦労したけど、その室内の光が外観に漏れてきて作りだす景色が意外と好きかな。意図して作ったとはいえ、自分が思っていたよりさらに綺麗だった。
真っ白な雪の中で、特別な世界が広がっているようで幻想的で面白かった。

四方

なるほど、それは美しそうですね。

戸恒

建築が純粋であるが故に、照明デザインも、ピュアな方法って一体何だろうって考えさせられたプロジェクトだったね。

四方

独立してすぐ、今まで経験してきた事を全て覆されて、自分で一から考え直して導いたプロジェクトですね。

戸恒

そうそう。本当に大変だったよ(笑)。
でもその時の経験が、今のシリウスのやり方に繋がっているって感じだよね。そうじゃないと他のデザイナーと仕事の違いをつくり出せていなかっただろうからね。
藤本さんの仕事を仕上げる為に、一度原点に戻って自分で照明デザインを再構築しないといけなかったから、自分の中の光の考え方や優先順位が変わった。
それまでは、習ってきたものを出していただけだったんだけど、このプロジェクトを境に自分から自分の光を発信できるようになったと感じるよ。

四方

うわ~!これは、本当に最初の分岐点のプロジェクトだったんですね。
これから、15年間で分岐点になった様々なプロジェクトのお話しを聞くのがますます楽しみになりました!

皆様も乞うご期待ください!