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シリウスマガジンでは、最近のお仕事や社内の様子、
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2020.08.12

vol.11[15周年特別企画③ 第1話] あのプロジェクトの思い出 ~シリウスプロジェクト探訪:House N 編~

四方

皆さんお待ちかね!「シリウスプロジェクト探訪」第2回目は、学生さんに大人気のHouse Nについて色々伺ってみたいと思います!
実はシリウスにくる学生さんの多くが、House Nを見て応募したんですけど…といってこられるんです。このプロジェクトも、前回に続き、建築家の藤本壮介さんとのプロジェクトですね。

戸恒

へぇ、学生さんに人気なのは意外だね。
実はHouse Nは僕にとって思い出深いプロジェクトなんですよ。
当時、「児童心理治療施設」や、他のプロジェクトの打合せをする為に、藤本さんの事務所にちょくちょく行っていたんだけど、藤本さんの事務所って沢山の模型がどこかしこに置かれていてね。ある時、穴の空いたテッシュ箱みたいな模型が視界に入って、「うわ、これ難しい建築だな~。これが来ちゃったら大変だなぁ」と思ってドキドキしていたら、案の定「次はこれお願いします。」って言われたのがスタートです(笑)。

四方

気になっていた模型が、ついに来たんですね~!

戸恒

この建築は3層の入れ子構造になっていて、一番外の壁は塀という扱いになるそうなんですよ。
一番内側にある壁が本当の家の外壁だから、家の本体自体は敷地に対してそんなに大きくはないんだよ。印象としては、沢山の壁のレイヤーがあるという感じ。そして大きな穴がたくさん空いている。そこに、よく見かけるような一番外の壁を照らすっていう照明手法を使うのは、照明のアプローチとして違う感じがしたんだ。

四方

とても印象的な建築のお家ですよね。照明計画を考えるのも難しそうです。

戸恒

そもそも住宅なので、いかにもライトアップしているという印象もよろしくないしね。
自然と中から光がこぼれてきているように見せつつ、建築に穴が空いた感じとか、面の裏表の重ね合わせや、光と影の重なり方が綺麗に見える方法を突き詰めていったんだよ。
藤本さんは、照明器具のための納まりをわざわざ作って建築に埋め込ませるということが嫌いな人なんだ。納まりを含めて照明器具がまったく見えないか、もし仮に付けるんだったら、建築に異物としてボコッとつけるというスタイルが好きなんだよ。

四方

え~!ボコっとですか!色々な考え方があるんですね。面白いです。

戸恒

うん。意匠器具としてスタンドが置いてあるとかは全然OK。
建築本体を純粋にとらえ、それ以外は別の違うものとしてそこに置かれた感じがいいみたい。
建築に照明器具が納まるのはダメなんだ。

四方

照明器具を建築に納めないで、照明デザインをしていくのは難しそうですね。

戸恒

この上の写真みたいに、足元にさりげなくボラードを置くなどしながら光を作っていったんだ。
普通はスポットライトやダウンライトを使っていくところを意匠的な器具の配置の工夫で近い効果を狙っていくんだ。
この方法でも、外から見た時に、2番目の壁を柔らかく明るくみせることが出来るんだよ。つまりは、ねらい通りの効果を作り出せてるってことね。

(つづく)