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2020.09.17

vol.12[15周年特別企画③ 第2話] 光のレイヤーを大切に

戸恒

この建物の特徴はズバリ3層入れ子構造になっているってこと。
上の写真のように1番手前の壁がシルエットになって2番目の壁がグレーになって、室内から優しい光が漏れているという光のレイヤーを夜の景色にも作り出したんだよ。このレイヤーをいかに美しく見せるかに徹底して、壁から照明器具までの距離も全て計算して決めてるんだよ。

四方

当時はCG検証とか無いじゃないですか、照明器具の位置はどうやって決めているんですか?

戸恒

これは、3DCADソフトでモデリングデータを立ち上げてから、
ワイヤフレームという骨格を表現しただけの単純な3D画像を、色んなアングルで印刷して、そこに色鉛筆で色を塗りながら、頭の中で考えたんだよ。

四方

えっ!じゃあ手を使いながらですか?

戸恒

そうそう。この頃はまだまだ、スケッチで何もかも検討していたよ。
ここをこれぐらい明るくするには、どの明るさの照明器具を置くべきかな。など、自分の経験と相談しながら考えて。

四方

やはり経験値は大切なのですね。

戸恒

スケッチしながらだし、この家の場合は、狙いがハッキリしていたからプランを立てるのは早かったよ。当時はLEDもないし、藤本さんの好みに合わせると使える器具も限られていたしね。ふわっと光る円筒型のボラードとか、白熱電球とかね。今となっては懐かしいね(笑)。
ちなみに一番外の壁の内側を照らすのは屋外用のボラード2台で、2番目の入れ子の天井を照らしているのは、一番内側の居住空間の天井の上に置かれた電球なんですよ!

四方

え~!言われないと絶対分からないですね。

戸恒

どこに明るさのピークを持ってくるかも、色鉛筆でぬりながら考えたね。図面を見ても穴が沢山空いているだけだから、関係性がわかりづらくて大変だったな。ここを照らしたいんだけど、どこに照明器具置けるんだ?って見ても穴だらけで置ける所がなかったりね。
光を置いた時に、穴がつくる影が変な所に出ないようにするのも大変だったな~。

(つづく)