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2020.05.27

vol.08[15周年特別企画② 第2話] いままで学んできた照明計画が通用しない!

四方

いよいよ照明計画の話ですね!とってもわくわくしてきました。

戸恒

この建築は、白いキューブがゴロゴロと色々な方向を向いて並んでいて、キューブ間には屋根がかけられて内部空間がつながってるんだけど、内装は、ずっと白い壁が延々と色々な方向にそそり立っているだけなんだよ。
今まで、そんな白いだけのニュートラルな空間の照明プランをした事がなかったから、内心とても焦ったよ(笑)。

四方

おぉ!独立して初めて今まで経験のない空間と対峙したんですね!興味深いです。

戸恒

今までは、空間に入ればこだわりのあるテクスチャーの壁がまず見えるから、それをウォールウォッシャーで魅せて…とか、建築照明の基本を展開できるプロジェクトが多かった。ただ、この建築は壁も全部同じ素材だし、どの空間も部屋もみんな同じように扱われてるし、照明計画を考える手がかりが一切ない。それで、自分が知っている照明手法を使って、照明計画を何パターンも考えて、藤本さんにもっていったんだよ。

四方

わ~!どうなったか気になります!

戸恒

そしたら、「ん~間接照明は違うな~とか、ウォールウォッシャーも何か違うな~。」って言われてしまって、自分が独立前に学んで知っている照明手法を全部否定されてしまったんだよね。更に藤本さん本人は、「でもどうしたらいいのか、わからない(笑)。」って言うんだよね。

四方

まさかの全否定!そして回答がない!(笑)これはすごい展開ですね。

戸恒

お互いに行き詰まったものだから、一旦休憩をとることになったんだけど、その雑談の最中に、「この建築で何を表現しようとしているんですか。」って自分の中で固まっていなかったモヤモヤを藤本さんに素直に聞いてみたんだよね。そうしたら、「何か白い壁が自然とそこにあるのがいいんだよね。」って言われた。確かに間接照明とかウォールウォッシャーは壁を意図的に照らす照明手法なんだけど、「ここを目立たせるぞ!」っていう意思をあえて見せる手法ではある。そもそもそれが照明をデザインするということではあるんだけど…。つまり、今までの照明デザインは、やりたくないって言われたんだよね。

四方

なんと…。

戸恒

「ここにただ白い壁が立ち上っている。だけど、それぞれ向いている面が違うから全部の壁が同じ表情であるのもおかしい。 壁が、意図的ではなく自然とそれぞれの明るさをもっていて、結果として空間がいい感じになっているのがいいね。」というのが、最終的な合意点になりました(苦笑)。

四方

むっ、難しい…。

(つづく)